Research Highlights

プラスチックを消化するイモムシ

Credit: César Hernández/CSIC

イモムシをポリ袋に入れて運んでいた研究者が、ある種のイモムシはポリエチレンを消化できることを発見した。ポリエチレンンは至る所で使われているプラスチックだが、最も分解しにくい部類に入る。

ケンブリッジ大学(英国)のPaolo BombelliとChristopher Howe、カンタブリア大学(スペイン)のFederica Bertocchiniは、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)の幼虫を入れたポリ袋にすぐに穴が開くことに気付いた。そこで、実験室でポリエチレンフィルムの上に幼虫を載せて観察すると、約100匹の幼虫が12時間ほどで92mgのポリエチレンを分解することが分かった。この分解速度は、ポリエチレンを分解することが知られている微生物よりもはるかに速い。また、幼虫をすりつぶしたものをポリエチレンフィルムに塗っても分解されたことから、幼虫はプラスチックを単にかじったのではなく、消化していると考えられる。

ハチノスツヅリガの幼虫は、ハチの巣の中に棲み、蜂蜜や蜜蝋を食す。蜜蝋には化学的にポリエチレンに似た化合物が含まれており、この分解能力は、幼虫が蜜蝋を消化するのに役立っている可能性がある。

翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 8

DOI: 10.1038/ndigest.2017.170827

参考文献

  1. Curr Biol. 27, R292–R293 (2017).