Research Highlights
うろこと毛の起源は同じ
哺乳類の毛、鳥類の羽毛、爬虫類のうろこは、上皮組織の一部であり、その細胞構造を共通の祖先である爬虫類から受け継いでいる。これらは独立に進化してきた皮膚付属器なのか、単一の起源を持っているのか論争が続いていた。
ジュネーブ大学(スイス)のN. Di-PoïとM. Milinkovitchはこのたび、ナイルワニ(写真右)、コーンスネーク、フトアゴヒゲトカゲのそれぞれの胎児における皮膚の発生過程を調べた。その結果、爬虫類にも、鳥類の羽毛や哺乳類の毛(写真左はマウス胎児)の原基である「解剖学的プラコード」(濃青色の点)が存在し、うろこはそこから発生することが分かった。解剖学的プラコードは、ヘビやトカゲでは発生の際にごく短時間しか現れないためにこれまで見落とされ、爬虫類には存在しないとされていた。
爬虫類のプラコードでも、鳥類や哺乳類のプラコードと同じ発生遺伝子が発現しており、現生動物の毛と羽毛とうろこが共通の起源を持つことが示唆される。
翻訳:三枝小夜子
Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 9
DOI: 10.1038/ndigest.2016.160905
参考文献
- Sci. Adv. 2, e1600708 (2016)