Research Highlights

飛び回る蚊の軌跡を分析するアルゴリズム

Credit: J. R. SOC. INTERFACE/CC BY 4.0

蚊は複数のヒト疾患を媒介するが、その行動を野外で調査するのは困難だ。ウォリック大学(米国コベントリー)のDavid Towersらは、赤外線LEDをバックライトとして使うことで、蚊の飛行をビデオカメラで撮影することに成功した。彼らは英国の実験室内とタンザニアの野外で夜間に人を寝かせ、2台のカメラを使って蚊帳の周りの蚊の動きを撮影した。研究チームは蚊を1匹ずつ追跡するアルゴリズムを開発し、ビデオカメラに映った蚊の飛行軌跡を分析した。その結果、蚊は蚊帳の上方、寝ている人の頭上付近を集中的に飛んでいることが明らかになった(蚊の飛行軌跡はカラーの線として表示)。また、ウエストナイルウイルスを媒介するネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)は、マラリア原虫を媒介するガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)よりも活動的である傾向が見られた。

この技術は、疾患の伝播に蚊のどのような行動が関係しているかを詳しく理解するのに役立つ可能性がある。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 7

DOI: 10.1038/ndigest.2016.160717

原文

Video reveals mosquito antics
  • Nature (2016-04-21) | DOI: 10.1038/532284a

参考文献

  1. J. R. Soc. Interface 13, 20150974 (2016)