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結核を血液検査で診断

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2016.160609a

簡単で安くて正確、数百万人の命を救う

世界の人口の1/3が現在も結核菌に感染している。結核は主に肺を冒す病気で、体力低下や発熱、咳、胸痛などの症状が特徴だ。最新の2014年の集計では、約960万人が新たに感染し、同年の結核による死者は約150万人に上った。簡単で安く正確な結核診断法の開発が急務だが、現在最もよく使われている方法はこの3条件を全て満たしているわけではない。だが、新しく開発された血液検査は結核の流行をかなり抑えられるかもしれない。

従来の結核検査では痰に含まれる細菌のDNAを調べるが、子どもは必要なときに痰を吐き出せないこともある。また、この検査では、結核と同時にHIVに感染していると見逃すことがある。結核菌が少な過ぎて検出できない例や、肺の外にいる例があるからだ。さらに、検査には10ドル近く掛かり、開発途上国の多くでは高過ぎて使えない。こうした制約のせいで、診断遅れや未診断の患者が非常に多く、深刻な感染が治療されないまま広がっている状況だ。

2年前、世界保健機関(WHO)は改良型結核診断法の開発を呼び掛けた。それに応じて、スタンフォード大学医学部(米国)教授Purvesh Khatriの研究チームがヒトゲノムを端から端まで調べて、活動性結核を他の疾患と区別する3つの遺伝子を発見した。その後、血中でこの3つの遺伝子を検出する方法を開発した。

Lancet Respiratory Medicineに掲載された報告によると、この検査法は患者がHIVに同時感染していても検出でき、小児患者の86%で結核を正しく検出した。血液検査なので、診療所で実施でき、痰の検査と違って即日結果が出るなどの利点がある。診察を1回受けるだけでも途方もない負担となる途上国では、これは特に大きな意味がある。「治療はすぐに始めたいのですから」とAIDS(後天性免疫不全症候群)に取り組むエール大学医学部(米国)の教授Sheela Shinoiは言う。

この診断法は新しい患者にはまだ使われておらず、規模の拡大も難しいかもしれないが、Khatriはこの検査法の特許を出願している。検査費用は現在使われている検査の半分で済むとKhatriは考えている。Shinoiは「この3遺伝子検出法が治療現場で使われるようになれば、結核の診断が一変するでしょう」と言う。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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