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分類学の分裂

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2016.161206a

DNAによる種の決定をめぐり熱い議論が続く

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YINYANG/E+/GETTY

このほど、甲虫が格下げになった。甲虫の仲間は分類上で甲虫目というグループをなし、この目は生物界で最も多くの種からなると考えられていたのだが、Philosophical Transactions of the Royal Society Bに掲載された最近の研究によると、この栄誉はハエ目(双翅目)に移る。今回の発見は、分類学界に緊張をもたらした。種の決め方をめぐる議論の火に油を注いだ格好なのだ。

DNAバーコーディングで種数10倍に

ハエ目の種数が最多であるという結果は、100万匹を超える昆虫を「DNAバーコーディング」によって調べたグエルフ大学(カナダ)の研究チームの解析による。DNAバーコーディングは生物のDNA断片からコンピューターで遺伝子プロファイルを特定する分類法だ。特定されたプロファイルにはバーコードインデックス番号(BIN)が付与され、これが1つの種に対応する。研究チームは、ハエ目に属する1つの科が1万6000のBINを擁し、従来推定の10倍に上ることを発見した。この数字を全体に外挿すると「地球上の生物に関するこれまでの見方がひっくり返ります」と、論文の責任筆者Paul D. N. Hebertは言う。

しかし伝統的な分類学者たちの多くは、BINと種が等価であるとは考えていない。カリフォルニア大学リバーサイド校(米国)の昆虫学者で伝統的な分類を支持するDoug Yanegaは、この論文は「彼らが採用した生物の分類法が従来法といかに根本的に異なっているかをいみじくも示しています。彼らの数字と私たちの数字は1桁以上も違うのです」と言う。「実に驚くべき差であり、まるで異なる惑星を見ているようです」。

精度は十分か?

主に標本の体形などを観察・比較して種を同定している伝統的な分類学者たちは、バーコーディングは生物を目や科に位置付けるのには役立つかもしれないが、種を特定するほどの精細さはないと主張する。DNAを使って進化上の関連性を解明する分子系統学がすでに利用されているものの、ミドルテネシー州立大学(米国)の生物学教授Andrew V. Z. Browerは、「DNAバーコーディングは伝統的な分類法の代わりにはなりません。分類学者による調査を必要とする問題点を見つけるのが関の山です」と言う。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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