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血痕から分かる犯人の年齢

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2016.161007b

DNA解析を使わない迅速な方法

犯行現場に残されたDNAは容疑者を割り出すのに役立つ。DNAの遺伝情報を既存の犯罪者データベースと照合して一致するものが見つかる場合があるだろうし、目の色や髪の色といった身体的特徴の手掛かりが得られる。だがDNA検査には時間がかかる。犯罪捜査では時間は希少資源だ。

そこでニューヨーク州立大学オールバニ校(米国)の化学者Jan Halamekは、容疑者を短時間で絞り込む新しい方法を探求している。最近、人間の年齢をおおまかに推定できる化学バイオマーカーを血液中に見つけた。

血液中の酵素に注目

アルカリホスファターゼ(ALP)という酵素は骨が成長するときに放出され、その血中濃度は一般に女性では18歳、男性では19歳にピークを迎えて、その後は年齢とともに減少する。Halamekらはこの酵素の量に基づいて年齢を推定した。さまざまな濃度のALPを添加した模擬血液を使った実験で、その血液の持ち主が18歳以上か未満かを99%の確度で予測できた。Analytical Chemistryに報告。Halamekは現在、年齢の幅を狭めるための研究を進めている。

この研究は小規模で(サンプル数は200に満たない)、実際の犯罪捜査ではまだ試されていない。さらに、DNA鑑定を使えば、時間はかかるものの、もっと正確に年齢を割り出せると、エラスムス大学医療センター(オランダ・ロッテルダム)の分子生物学者Manfred Kayserは言う。だがHalamekは、この酵素検査法で既存の解析法や他の種類の証拠を補うことができると考えている。この方法は即座に結果が出る「その場診断法」のようなもので、ALP値が高ければ、捜査官は高齢の容疑者をすぐに除外できるだろうと言う。「多数を除外できれば、DNA検査をするまでもなくなるのです」。

Halamekのチームは以前の実験で、クレアチニンキナーゼやアラニントランスアミナーゼなど別のバイオマーカーを使って、血液が男性のものか女性のものかを推定できることを示している。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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