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限界を超えた薄型トランジスター

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2016.160136

原文:Nature (2015-10-01) | doi: 10.1038/526051a | Flat transistor defies the limit

冨岡克広

理論限界を大きく下回る駆動電圧で動作する次世代トランジスターが実証された。消費電力の極めて少ない集積回路を開発する道が開かれると期待される。

図1:2D半導体結晶と3D基板からなるトンネルFET
チャネルに原子レベルの薄さの二硫化モリブデン(MoS2)結晶2層(厚さ1.3nm)、ソースに縮退p型ゲルマニウム(Ge)を用いている。電荷は、GeソースからMoS2へと垂直方向に移動した後(バンド間トンネル効果:BTBT)、MoS2層内を水平移動し(ドリフト拡散)、ドレインへと到達する(赤色の矢印)。Geは高濃度にドープされているため、トンネル効果の障壁の高さは主にGeとMoS2との有効なバンドの重なりによって、障壁幅はMoS2層の厚さ(ファンデルワールス結合の距離を含む)で決まる。 | 拡大する

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スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの我々に身近な電子機器には、集積回路の構成要素として「電界効果トランジスター(FET)」と呼ばれるトランジスターが用いられている。電子機器の性能は、FETの大幅な微細化により飛躍的に向上してきたが、FETの微細化は際限なく続けられるわけではない。低い駆動電圧での高速スイッチングを可能にする、FETの「ターンオン性能」には理論的な限界が存在し、それを超える性能の向上には消費電力の増加が避けられないからだ。そんな中、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(米国)のDeblina Sarkarらは今回、原子レベルの薄さの二次元(2D)半導体結晶と三次元(3D)ゲルマニウム基板を組み合わせたトンネルFET(TFET)でこの限界を超えられることを実証し、Nature 2015年10月1日号91ページに報告した1。この画期的なTFETは、わずか0.1Vという低電圧で優れたターンオン性能を示す。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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