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印刷方式で作る電池

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 8 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150807a

ノズルから材料を押し出して一挙に

ゼロックス社傘下の有力研究開発企業PARCの技術者によると、電池の印刷は持続可能エネルギーの未来だ。彼らは最近、低コストの電池製造技術を発表した。将来は電池を構成する全ての部品を、ストライプ練り歯磨きをチューブから絞り出すように、いっぺんに組み上げられるようになるかもしれない。

現在、電池の製造には複数の段階が必要だ。まず2台の別々の機械を使って、エネルギーを蓄えるペースト状の材料を金属シートの上に塗り広げて2つの電極を作る。これらのシートを乾燥して圧縮した後、所定の大きさに切断し、電気的ショートを防ぐためにプラスチック製のセパレーターを挟んでサンドイッチ状にする。最後にこれを非導電体に詰め、電極間で電荷を運ぶ電解液を充填する。

まずはダブルストライプ

新しい電池印刷方式はこの過程を簡略化する。PARCのCorie Cobbは2015年4月にサンフランシスコで開かれた材料研究学会で、電池の3分の2を一挙に印刷できるノズルと材料を発表した。2つのヘッドを備えたこの印刷ノズルは、リチウムイオンの正極と高分子セパレーターを同時に押し出すことができる。

今のところ、グラファイトの負極は手作業で加えなくてはならない。同時に印刷すると材料が混ざり合ってしまうためだが、混合しないような材料の組み合わせが見つかれば解決できるだろう。Cobbらは、これら3つの部品全てを一度に印刷するトリプルストライプのプロセスが実現すれば製造コストを15%削減できると見積もっている。電池メーカーは現状のダブルストライプ方式にすでに関心を示している。試作された電池は在来製法で作った同じ材料の電池と同等の性能を発揮した。

手頃な価格の電気自動車の実現や、変動する風力や太陽光で発電した電力を電力会社が購入して貯蔵できるようにするには、より安価な電池がカギとなる。長期的には、現在のような四角や円筒状の電池ではなく、新タイプの機器に応じてそれぞれ別の形をした電池を印刷して作れるようになるかもしれない。

(翻訳協力:鐘田和彦)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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