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エンセラダスに生命の萌芽を見出す

関根 康人

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150616

ガリレオやカッシーニ、火星ローバーなどによる惑星探査が進み、地球と似た環境がかつて存在した火星、液体の現存する木星の衛星エウロパ、土星のタイタンなどで、生命存在の可能性が議論されてきた。一方で、見向きもされなかった土星の小さな衛星エンセラダスが、にわかに注目を集めている。原始的な微生物であれば、生息可能であることが分かってきたからだ。東京大学大学院理学系研究科の関根康人准教授は、国際的な研究チームの一員として実験室での再現実験を担当し、微生物を育める環境の存在を実証することに成功した。

図1:探査機カッシーニ(左)と土星の衛星タイタン(右)。
カッシーニには12の観測機器が搭載されている。土星とその衛星の探査を2004年から行っており、その活動は2017年に終了予定。カッシーニの調査により、タイタンには窒素とメタンからなる濃密な大気が存在していることが分かった。大気中では、太陽紫外光などをエネルギー源とした化学反応が起き、生成した高分子有機物のエアロゾルが全球を覆っている。 | 拡大する

NASA; NASA/JPL/Space Science Institute

–– Nature ダイジェスト:惑星科学研究に入られた理由とは?

関根:極めて明快で、「地球生命の起源を明らかにする」という中高校生の頃からの夢を実現させるためです。この分野の研究は地質学や化学によるアプローチが主でしたが、私は生命を育む環境を生み出した根源を知りたいと思っていたので、それならば惑星の起源から迫ろうと考えました。2004年、博士課程2年時に米国航空宇宙局(NASA)のエイムズ研究所に留学する機会を得ました。同じ年、1997年に打ち上げられた探査機カッシーニが土星系に到達し、衛星の1つであるタイタンの大気に関する研究が盛んに行われるようになりました。私も加わり、以来、土星系を中心に惑星科学研究を続けています1,2。一方、地球と生命の共進化にも興味を持っており3、現在は地球進化学と惑星科学を両輪として研究を進めています。

–– 探査が進む土星系。その特徴とは?

土星は太陽から6番目に位置し、太陽系内で木星に次いで大きな惑星です。土星の内部には鉄、ニッケル、シリコンなどからなる岩石核があり、その周りを金属および液体の水素、液体ヘリウムが、さらに外側を高温のガスが覆っています。土星本体の周囲には7層の環(内側から順にD環、C環、B環、A環、F環、G環、E環)があり、64個の衛星を伴っています。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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