Research Highlights

ダーウィンフィンチの謎にゲノムから迫る

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 5 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150513

原文:Nature (2015-02-19) | doi: 10.1038/518308a | Finches sequenced

Magdalena Skipper

P. R. GRANT | 拡大する

ダーウィンフィンチは、「自然選択による進化」という理論の構築に重要な役割を果たしたことで知られ、選択圧により比較的短期間に多数の種に分岐した「適応放散」を象徴するモデルとなっている。この度、ダーウィンフィンチでは初めてとなる大規模なゲノム解析が行われ、この鳥の急速な進化は、適応の過程を通して種間の交雑が続いたことでもたらされた、という意外な事実が明らかになった。

南米エクアドル西のガラパゴス諸島には共通祖先から進化した14種のダーウィンフィンチが生息しており、それぞれ別のニッチを占めている。そして、ガラパゴス諸島の約700km北東に浮かぶココ島にも1種が生息する。ウプサラ大学(スウェーデン)のSangeet Lamichhaneyらは、この全15種および2近縁種の120個体の全ゲノム配列を解読し、その結果をNature 2月19日号371ページで報告した(S. Lamichhaney et al. Nature 518, 371–375; 2015)。

ダーウィンフィンチの形態は幅広く研究されており、特にくちばしの多様な形状は注目されてきた。Lamichhaneyらはこの研究の中で、自前の豊富なデータセットを利用してくちばしの形状の遺伝的基盤を調べ、頭蓋顔面の形態に関与しているゲノム領域を6カ所突き止めた。そのうちの1カ所はタンパク質ALX1をコードし、ダーウィンフィンチ全般でも、そのうちの1種であるガラパゴスフィンチ(Geospiza fortis)の中でも、くちばしの形状に認められる急速な進化に強く関与していた。ALX1の機能は進化的に保存されており、その遺伝子の変異はヒトやゼブラフィッシュの頭蓋顔面の発生に影響を及ぼすことが知られている。

(翻訳:小林盛方)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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