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86もの流星群を発見したCAMS

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2015.151220

原文:Nature (2015-09-17) | doi: 10.1038/525302a | Dates added to meteor calendar

Alexandra Witze

監視カメラを何台もつないだ「全天流星監視カメラ(CAMS)プロジェクト」により、これまで知られていなかった86の定常流星群が流星群カレンダーに加わった。

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peresanz/istock/thinkstock

ペルセウス座流星群、しし座流星群、ふたご座流星群などの毎年見られる流星群(定常流星群)のリストに、このほど新顔が加わった。防犯用ビデオカメラのネットワークを利用し、泥棒の代わりに地球大気に突入して燃え上がる宇宙の塵を監視している天文学者たちが、これまで知られていなかった86の流星群を発見したのだ。

新たに発見された流星群は、光は弱いが重要だ。流星群は、彗星や小惑星が通った後に残る粒子の尾の中を地球が通過することによって起こる。つまり、この尾の地図を作成すれば、これまで知られていなかった塵の供給源を明らかにすることができるのだ。

SETI研究所(米国カリフォルニア州マウンテンビュー)の天文学者Peter Jenniskensは、「このプロジェクトが素晴らしいのは、夜空の流れ星を見張っているだけではないということです。太陽系内の塵の分布の三次元地図も手にすることができるのです」と言う。

流星の原因となる粒子(流星物質)の大半は砂粒ほどの大きさだが、大気中を落下する間に燃え尽きることなく、地上に到達して危害を及ぼす恐れがある大きさのものも少数ながら存在する。Jenniskensらは、Icarusに受理された4本の論文で、この発見について記述している。

天文学者は何世紀も前から流星群を記録してきた。最初は裸眼による観測だったが、最近ではレーダーやビデオ追跡装置も利用している。流星は1年を通して地球に降り注いでいるが、特に、多数の流星が天球上の一点(放射点)から四方八方に流れるものを流星群と呼ぶ。世界の天体観測者たちは国際天文学連合(IAU)に750以上の流星群らしき現象を報告しているが、本物と確認されているものはそのうちのごく一部だ。

防犯カメラで流星を監視

Jenniskensのチームは、こうした流星群候補が本物かどうかを確認するため、米国カリフォルニア州北部の3カ所にカメラを設置した。CAMS(Cameras for Allsky Meteor Surveillance;全天流星監視カメラ)と名付けられたこのプロジェクトは、60台の防犯カメラを空のさまざまな方向に向けて、できるだけ多くの流星を捉えようとするものだ。個々のカメラの視野は狭いが、カメラの台数を増やすことで、天頂を中心とする仰角30度以上の空を広くカバーすることができる。

カーティン大学(オーストラリア・パース)の惑星科学者Phil Blandは、「CAMSではカメラが捉えた全ての流星のデータを収集するため、散発的な流星の中から新しい流星群を探し出すことができるのです」と説明する。なお、彼が参加するDFN(Desert Fireball Network;砂漠火球ネットワーク)プロジェクトでは、地上に落下した隕石を回収するため、オーストラリアの内陸部の砂漠にカメラを設置し、火球と呼ばれる特に明るい流星を監視している。

2010年に始動したCAMSは、今日までに25万以上の流星を観測してきた。そのうちの約4分の3が単独でランダムに現れる流星で、4分の1が流星群の流星だ。CAMSは、IAUの流星群候補リストに掲載されていた流星群のうち81を確認した他、86の流星群を新たに発見した。

その中の1つは12月初旬に南半球の空に出現し、ほ(帆)座を放射点としているようだ。Jenniskensによると、この流星群は今まで知られていなかったものとしては驚異的な規模だという。また、今回新たに確認された別の流星群が2013年3月に極大を迎えたときには、岩ほどの大きさの天体が月に衝突して発生した閃光が観測されている。

CAMSのチームは、オランダとニュージーランドにも小規模なカメラ網を設置して観測範囲を広げている。「サンプル数が増えれば、その分だけ、空で何が起きているかを詳しく把握できるようになるからです」とJenniskens。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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