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心筋の治癒を促すタンパク質Fstl1

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2015.151230

原文:Nature (2015-09-24) | doi: 10.1038/nature15217 | A protein for healing infarcted hearts

Gordana Vunjak-Novakovic

ヒトの心臓組織は再生する能力が非常に低く、損傷を受けると徐々に機能が低下していく。このたび、心臓の外膜領域の細胞が通常発現しているタンパク質Fstl1が、心臓発作により損傷した心筋の再生を誘導できることが分かった。

哺乳類の健康な心臓組織には、測定できるが、非常に低い再生能しかない1。ヒトの平均的な寿命では、一生のうちに心臓の筋細胞(心筋細胞)の約45%が更新されるが、残りの55%は出生時から存在する細胞である。この割合では、心筋梗塞あるいは心臓発作によって引き起こされる損傷を修復するには十分でないことがよく知られている。実際、梗塞が起こるとその領域を埋めるように繊維芽細胞が増殖し、収縮しないコラーゲン繊維性の瘢痕が形成されるため、心臓のポンプ機能は徐々に低下する。従って、心臓の再生治療ではどんな手法であれ、心筋を適切に治癒できる細胞を(外部の供給源あるいは体内から)損傷部位に持ち込む必要がある2。そうした手法として有望視されているものの1つに、ヒト幹細胞由来の未成熟な心筋細胞を使用するものがあり、現在、精力的な研究が行われている3,4。しかし、カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)およびスタンフォード大学医学系大学院(米国カリフォルニア州)のKe Weiらは、幹細胞の利用とは異なる手法を用いて心臓の再生を促進したことを、Nature 2015年9月24日号479ページに報告した5。研究チームは、健康な心臓の心外膜領域に存在する(が、心筋梗塞後には心外膜から消失する)タンパク質Fstl1(follistatin-like 1)に、心臓の再生を誘導する能力があることを見いだし、それを用いたのである。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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