追悼・南部陽一郎博士
Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2015.151009
原文:Nature (2015-08-26) | doi: 10.1038/524416a | Yoichiro Nambu (1921–2015)
現代素粒子物理学を予見した理論家
UNIV. CHICAGO LIBRARY, SPECIAL COLLECTIONS RESEARCH CENTER/CHICAGO MAROON
7月5日に大阪で急性心筋梗塞により死去した南部陽一郎は、20世紀の理論物理学に最も大きな影響を及ぼした科学者の1人だった。彼の洞察は非常に深く、独創的であったため、他の研究者から理解され、真価を認められるようになるまでに数年かかることも珍しくなかった。自発的対称性の破れの理論(彼はこの業績により小林 誠、益川敏英とともに2008年にノーベル物理学賞を受賞した)、クォークとグルーオンの理論、弦理論は、いずれもそうした経緯をたどった。