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土星で衛星誕生中

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 8 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140806a

環の中で小さな月が生まれつつあるらしい

土星は美しい環の他、大小さまざまな62個の衛星群も従えている。だが最近、天文学者たちはこれまで見たことのないものを目にしているようだ。土星の壮大な環から、衛星が生まれつつあるらしい。

「この発見は偶然だった」とロンドン大学クイーンメアリー校(英国)の惑星科学者Carl Murrayは言う。彼は2013年4月、惑星探査機カッシーニが撮影した土星の衛星の新着画像を調べていて、A環の端に長さ1000kmを超える明るい部分があることに気付いた。A環は土星にある主要な3つの環のうち最も外側に位置する。

Murrayらは、この明るい場所では新しい衛星が生まれようとしている可能性があるとIcarus 2014年7月1日号に報告。この衛生の直径は1km未満と小さ過ぎて確認できないが、昨年何かがこの衛星に衝突して輝きが生じたため、初めて目を引いた。A環で新たな衛星が生まれている可能性は十分にある。A環の外側に位置する比較的大きな衛星ヤヌスの重力の影響で、A環外縁部の粒子が凝集されるからだ。凝集塊が十分な大きさに発達すると、それ自体が重力によってさらに多くの物質を引き寄せ、ついには衛星が生まれるだろう。Murrayは今回の例は最近に形成されたものだと考えているが、数年前にできたのか数百万年前なのかは分からない。

うまく育つか、分解するのか

今回の発見には関与していないNASAエイムズ研究センター(米国カリフォルニア)のJeff Cuzziは、Murrayが初期の衛星を発見したのは間違いないとみる。より重要な問題は、この衛星の運命だという。環から抜け出して衛星としての地位を確立するか、それともばらばらに分解するのか?

この生まれたての衛星の行く手にはいくつかのハードルが待ち構えている。この衛星は、環と同様に氷でできていると思われるため、流星体の衝突によって今後数百万年で粉砕されてしまうかもしれない。

カッシーニが2016年にA環に接近して鮮明な画像を撮影すれば、衛星を直接確認できるだろうとMurrayは期待している。土星の環は平らで大質量天体の周りを回っている点で、若い恒星が持つ原始惑星系円盤に似ている。今回の衛星の形成から、惑星がどのように生まれるのかについて理解が進む可能性がある。土星の環は初期の太陽系など銀河の中で新たに生まれる惑星系の縮図といえるかもしれないのだ。

(翻訳:鐘田和彦)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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