遺伝子改変技術に新時代到来!
Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140210
原文:Nature (2013-11-07) | doi: 10.1038/503014a | Precision gene editing paves way for transgenic monkeys
次世代の遺伝子改変技術として注目を集める「ゲノム編集」の登場で、ヒト疾患モデルとなる遺伝子改変サル作出に期待が高まっている。
Credit: 実験動物中央研究所 井上貴史
エモリー大学(米国ジョージア州アトランタ)の遺伝学者Anthony Chanは、2年の歳月を費やして、ヒトの変異(ハンチントン病の変異)を持つ遺伝子改変サルを、世界で初めて作出した。しかし、作出した5頭のうちの3頭は、予想よりもはるかに速く重度の症状を呈して生後1カ月以内に死亡したことが、2008年に報告された1。変異導入の際にウイルスを用いたため、無作為に余分なコピーがゲノムに挿入されて症状が増強されたことが原因と考えられる。Chanのこの結果から、霊長類で特定の遺伝子機能を標的とした疾患モデルを作出するのに、ウィルスを使った手法だけでは限界があることが浮き彫りになった。