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おうちはどっち?

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2014.141206b

一部の渡り鳥は母親と父親から矛盾した指令を受け取っている

毎年秋になると、北半球の渡り鳥は寒さを避けて南へ移動する。人間がそんな旅をするには地図が必要だろうが、渡り鳥はルートを少なくとも部分的には遺伝子の中に記録しているらしい。渡り鳥は、外部の手掛かりだけに頼っているのではなく、渡りの飛行計画を生まれつき持っているのだ。

同じ集団に属する個体の大半は、有利な風向きと地形を生かした同じルートを飛ぶ。だが、中には“混血鳥”もいる。飛行ルートの異なる別の群れ出身の親鳥から生まれた鳥だ。こうした混血鳥はどんなルートを選ぶか?

初期の実験では、混血鳥は親鳥が飛ぶ各ルートの中間を取ることが示唆された。この実験では研究室育ちの鳥を使い、鳥が飛びたがっている方角を記録するように設計された鳥かごを用いて飛行ルートの好みを評価した。「素晴らしい研究でしたが、本当に必要なのは野生の鳥を1年かけて追跡することでした」と、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)の大学院生Kira Delmoreは言う。

Delmoreらは野生のオリーブチャツグミ97羽に小型GPS追跡装置を付けた。一部は北米西海岸沿いにメキシコやグアテマラ、ホンジュラスに渡る亜種に属し、その他は中東部を通ってコロンビアやベネズエラに飛ぶ内陸性の亜種に属する。そして両集団の生息地が重なるカナダ西部海沿いの山岳地帯にある小領域で生まれた混血鳥がいる。

研究チームは21羽から有益なデータを回収し、一部の混血鳥が両親の飛行ルートの中間を飛ぶことを示して先の実験室研究を確認した。他の混血鳥は混合ルートを取り、春には片方の親の飛行ルートを、秋にはもう片方の親のルートを飛んだ。この他、どちらか片方の親のルートだけを飛ぶ鳥もいた。おもしろいことに、中間ルートを取った混血鳥の一部は、最終到着地も中間地点になった。「混血鳥の渡りルートと目的地の両方が中間的なものになる例を示した論文は初めてだ」とカナダにあるヨーク大学(英国)の鳥類学者Bridget J. Stutchburyは言う。この成果はEcology Letters 10月号に掲載された。

混血鳥は米国南西部の乾燥地帯や山岳地帯など適切とはいえないルートを飛んでおり、生き残りが難しくなるかもしれないとDelmoreはみる。彼女の直観が正しかった場合、渡りのルートが鳥の種分化を促す要因となっている可能性がある。例えばオリーブチャツグミの場合、混血鳥が渡りの間に生き残るのが難しいとすれば、沿岸部と内陸部のグループが最終的には別種に進化するかもしれない。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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