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正常ヒト細胞株WI-38の光と影

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2013.130924

原文:Nature (2013-06-27) | doi: 10.1038/498422a | Cell division

Meredith Wadman

1962年、Leonard Hayflickは中絶胎児から1つの細胞株を樹立した。 この細胞株は「WI-38」と名付けられ、その後50年以上にわたって研究用正常ヒト細胞の重要な供給源となってきた。 と同時に、さまざまな論争の原因にもなってきた。

1982年に撮影された、WI-38細胞をチェックしているLeonard Hayflick。彼が中絶胎児の肺から作り出したこの細胞株は、多くのワクチン製造に使われ、それらは現在も世界中で多くの人の命を救うために貢献している。

COURTESY OF LEONARD HAYFLICK

1962年、スウェーデンのある病院で、1人の女性が合法的に人工妊娠中絶を受けた。その女性は妊娠4か月だったが、もう子どもは欲しくなかった。胎児は女の子で、緑色の滅菌布に包まれた体長20cmの遺体は、ストックホルム北西にあるカロリンスカ研究所に送られた。そこで摘出された左右の肺は、氷詰めにされて、空港からウィスター研究所(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)へと送られた。数日後、大西洋を横断してやって来たその箱を開封したのは、野心にあふれた若き微生物学者Leonard Hayflickだった。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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