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超新星のかけらを地上で発見

南極で採取された2個の隕石に、太陽系誕生以前の星の爆発で生じたシリカ(SiO2、石英や砂粒の成分)の粒子が含まれているようだ。それとともに、一部の研究者は、何十億年も前に塵やガスの雲から太陽系が生まれるきっかけとなったのは、そうした恒星の超新星爆発だったと考えている。南極の隕石がそうした決定的大変動の記録であるかどうかはともかく、これまで地球上で発見されたことがなかった超新星の副産物を含んでいることは確かだ。

太陽系誕生以前の粒子は、同位体の含有比が他とは全く異なるため、はっきりと区別できる。Astrophysical Journal Letters 誌2013年5月1日号に掲載された研究によると、「その含有比は太陽系で知られているどのような活動によっても説明がつかない」という。この粒子の化学組成を説明できるのは恒星の中で起きている核反応だけだ。太陽系発生期のガス雲に含まれていたそうした粒子の一部は、近傍の超新星から飛び出してきたものであり、一部は年老いた星からの恒星風に乗ってきたものだと考えられる。

Ⅱ型超新星でできたシリカ粒子

最近、セントルイスにあるワシントン大学のPierre Haenecourらが南極で2003年に採取された2個の隕石を分析したところ、どちらも太陽系誕生前にできたシリカの粒子を含んでいた。酸素18という酸素の重い同位体の含有量が多いため、太陽系誕生前のものだといえる。この特徴は、粒子がⅡ型超新星で作られたことを示している。Ⅱ型超新星は巨大な恒星の核の崩壊によって始まる爆発だ。以前にも太陽系誕生前のシリカを含む隕石が見つかっていたが、それらの粒子は同位体組成が今回とは異なり、超新星爆発ではなく漸近巨星分枝星(AGB星、漸近赤色巨星)という年老いた星に由来することを示していた。

こうした太陽系誕生前の粒子の収集・分析は、恒星間宇宙の歴史に関する演習問題以上の意味を持っている。近くの超新星からの衝撃波やAGB星からの穏やかな恒星風が、塵とガスの雲をかき混ぜて太陽や地球へと凝集させた可能性があるのだ。

太陽系誕生前の岩くずを集めることで、死に行く恒星の内部で起きている激しい活動を垣間見るだけでなく、最終的には、太陽系がどのように誕生したのかを解明できるかもしれない。

翻訳:粟木瑞穂

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 8

DOI: 10.1038/ndigest.2013.130808b