Japanese Author

少数分子の反応が生物を支配する!?

永井 健治

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2013.130318

例えば、遺伝子の物質的本体であるDNAは、1個の細胞中にたった2分子ずつしか存在しない。こんな少数個の分子の挙動を論じるのに、統計学的手法は使えない。もしも生命の本質に迫りたいなら、新たな原理を探らねばならないのだ。そう信じる永井健治・大阪大学産業科学研究所教授は、従来の生化学の常識をくつがえす「少数性生物学」の概念を世界に向けて発信する。

–– Nature ダイジェスト:永井研のHPには、「ぱっぱらぱーになって、科学革命を起こしませんか?」と書いてありますね。

永井:アホになれということです。つまり、教科書に書かれている「前提」や「法則」を鵜呑みにせず、おかしいと思ったことは疑ってみないとあかんのです。常識を疑うことが、真理や新しい概念の発見につながるのだから。でも、当たり前と思われている常識に疑問を呈すると、常識のある人からは「アホ呼ばわり」される(笑)。だから、それに負けないように、「ぱっぱらぱーになろう」と呼びかけているのです。

–– 永井先生が疑問に思った常識とは?

生化学の常識です。細胞内の反応は、生化学にのっとっている。分子であれば、アボガドロ数(1023個)を基準にした濃度で表し、溶液中で莫大な数の分子がランダムに動いて、反応が平衡に達したときの状態を想定して論じます。でも、「それは、ホンマか?」って、学生の頃から思っていました。例えば、遺伝子の物質的本体であるDNAは、基本的に、1細胞中にたった2個ずつしか存在しないのに、生化学実験では莫大な数のDNAとタンパク質を反応させて何が起きるか調べている。しかし、本当に生物の反応にかかわる分子が、莫大な数存在すると仮定していいのだろうか。そもそも、それを調べなくてはいけない、とずっと思っていました。

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

プライバシーマーク制度