Research Highlights
“肉食系”パルサーの発見
コンピューターの力を借りることで、「ブラック・ウィドー」と呼ばれるタイプのパルサーが見つかった。これは、強烈な放射によって伴星を蒸発させてしまうパルサーだ(ブラック・ウィドーは、雌が交尾後の雄を食べてしまうクロコケグモのこと)。
パルサーは超新星爆発を起こした星の残骸であり、灯台のように規則正しい間隔で各種の電磁波を放射している。γ線を放射しているものが多いが、普通は、γ線よりも検出が容易な電波を一緒に放射している場合に限って、検出できる。けれども今回、マックス・プランク重力物理学研究所(ドイツ・ハノーバー)のHolger Pletschらは、電波観測の結果に頼ることなく、フェルミγ線宇宙望遠鏡が収集した大量の生データを盲目的に探索することによって、新たなパルサー(図中円内)を発見した。
研究チームがコンピューターを駆使して探し出したこのパルサーは、93分で伴星の周りを軌道運動している。93分という公転周期は、これまでに見つかっているこの種の連星パルサーの中では最も短い。
翻訳:三枝小夜子
Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2013.130229
参考文献
- Science http://dx.doi.org/10.1126/science.1229054 (2012)