Research Highlights

トナカイが雪解けを遅らせる

Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2013.131026

原文:Nature (2013-06-13) | doi: 10.1038/498140a | Reindeer keep the ground cool

Credit: QUIRIN SCHIERMER

スカンディナビア北部におけるトナカイの放牧習慣と植生に及ぼす影響が、この地域の春の雪解け時期を左右している可能性がある。

ツンドラの灌木の背丈が高く、密に茂っているほど、雪解けの時期は早くなる。固く降り積もった雪の上に張り出す木の枝が多くなるほど、明るい雪面で反射する太陽光は少なくなり、より多くの熱が地面に吸収されることになるからだ。

フィンランド気象研究所(ヘルシンキ)のJuval Cohenが率いる研究チームは、人工衛星による観測を利用して、スカンディナビア北部における植生被覆と積雪被覆の関係を調べた。その結果、年間を通じてツンドラでトナカイを放牧しているフィンランドでは雪解けの始まりが遅く、夏の間は利用されないノルウェー内陸部の放牧地では、植物の背丈が高く、豊富であり、雪解けの時期が早いことが明らかになった。

著者らは、トナカイにもっと草を食べさせることで、春に急激に温かくなるツンドラの雪解けの時期を遅らせ、地表の高温化を和らげることができるかもしれない、と提案する。

(翻訳:三枝小夜子)

参考文献

  1. Remote Sens.Environ.135, 107-117 (2013)

キーワード

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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