In your element
In Your Element は、元素に関する楽しく、また役立つ情報をエッセイにまとめたものです。歴史を中心にしたもの、逸話を紹介するもの、ライターによる個人的な視点によるものなどを通して、元素の現状をお伝えしています。

多芸多才なガリウム
Gregarious gallium
携帯電話の部品にもいたずらにも使われる風変わりな元素ガリウム(Ga)について、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のMarshall Brennanが解説する。

枠にとらわれないスカンジウム
Unsporting scandium
スカンジウム(Sc)は、地球にも宇宙にも存在し、人間との関わりを深めつつある。Scの用途、産出、不思議さについて、サイエンスライターのJohn Emsleyが概説する。

クロムが織りなす豊かな色彩
The colours of chromium
クロム(Cr)にまつわる華やかな歴史と鮮やかな色彩について、チャルマース工科大学(スウェーデン)のAnders Lennartsonが、ルビーからロールス・ロイスまで、さまざまな例を挙げて説明する。

光り輝くカリホルニウム
Californium gleaming
カリホルニウム(Cf)が放つまばゆい緑色光の起源とその明るい未来について、フロリダ州立大学のThomas Albrecht-Schmittが説明する。

「生産者」モリブデン
Made by molybdenum
モリブデン(Mo)は、工業用触媒反応や細菌内の酵素反応において重要な役割を果たしている。42番元素Moの発見の歴史と触媒としての重要性について、チャルマース工科大学(スウェーデン)のAnders Lennartsonが解説する。

「ノー」と言われ続けたノーベリウム
Nobelium non-believers
アルフレッド・ノーベルの名を冠した102番元素ノーベリウム(No)は、ソ連、スウェーデン、米国のいずれかで、1950年代もしくは1960年代に「初めて」発見された。Noの発見をめぐる数十年にわたる混乱を、ストックホルム大学(スウェーデン)のBrett F. Thorntonとウースター工科大学(米国)のShawn C. Burdetteが詳しく解説する。

トリウムの熱いエネルギー
Thorium lends a fiery hand
放射性元素でありながら、核特性よりも化学的特性の利用が目立つトリウム(Th)。カリフォルニア大学のJohn Arnold、Thomas L. Gianetti、Yannai Kashtanが、Thの化学を振り返るとともに、原子力応用への期待を語る。

猛毒元素ポロニウム
Poisonous polonium
ポロニウム(Po)は存在度は非常に低いが毒性は桁外れに高い。Poのこうした一見不釣り合いな特徴について、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)のEric Ansoborloが考察する。

エルビウムを解きほぐす
Extricating erbium
68番元素エルビウム(Er)は、同じ希土類元素のイットリウム(Y)やイッテルビウム(Yb)、テルビウム(Tb)との結び付きが非常に強く、単離が困難であった。ジュネーブ大学のClaude Piguetがエルビウムの歴史を振り返る。

ジルコニウムの全て
The A–Z of zirconium
模造宝石から原子力発電所の設備まで、実に多彩な分野で活躍する40番元素ジルコニウム(Zr)。その特徴と用途についてサイエンスライターのJohn Emsleyが語る。

亜鉛の意外な価値
Zinc of unsuspected worth
自然界の至る所に存在し、古代から広く使われてきた30番元素亜鉛(Zn)。ありきたりで面白みに欠けると見なされることが多いZnだが、その存在を軽んじてはいけない、とチャルマース工科大学のAnders Lennartsonは反論する。

気配を隠すアルゴン
Argon out of thin air
化学的に不活性で化合物を作りにくい18番元素アルゴン(Ar)。その特殊な反応性と中性化合物の合成について、ヘルシンキ大学のMarkku Räsänenが振り返る。

水銀に魅せられて
Mesmerized by mercury
水銀(Hg)は、数々のユニークで有用な化学的特性を持つ一方で、危険な負の側面を併せ持つ。こうしたHgの二面性について、ミシガン大学のJoel D. Blumが考察する。


鉛を正しく理解する
Lead between the lines
古い歴史を持つ鉛(Pb)は、現代技術にも深い関わりのある元素だが、その使用には注意が必要だ。Pbの歴史、特性、用途についてインド科学振興協会のSomobrata Acharyaが検証する。

ラドンがラドンと呼ばれるまで
Recalling radon's recognition
ストックホルム大学のBrett F. Thorntonとワーチェスター工芸研究所のShawn C. Burdetteが、86番元素ラドン(Rn)の発見と名前をめぐる混乱の歴史を振り返る。

塩素年代記
Chlorine chronicles
17番元素塩素(Cl)は良くも悪くも日常生活に深く浸透している。身の回りのClから環境問題を引き起こすClまで、Clのさまざまな側面についてカリフォルニア大学のBarbara Finlayson-Pittsが解説する。

1度に1個しか作れないフレロビウム
One flerovium atom at a time
114番元素フレロビウム(Fl)の研究が徐々に進み、Flが同族元素と全く異なる意外な性質を持つことが明らかになりつつある。マッセイ大学のPeter SchwerdtfegerがFlの研究について解説する。


ネオンサインに隠された秘密
Neon behind the signs
ネオン(Ne)は希ガスの中でも特に変わった性質を持つ。この10番元素が周期表の右最上段の位置を占めるべきかどうか、トゥーシャ大学のFelice Grandinettiが考察する。

セリウムにクローズアップ
Cerium under the lens
セリウム(Ce)の少々不可解な酸化還元反応性と、それを利用した多様な応用について、ペンシルベニア大学のEric J. Schelterが解説する。

謎めいた元素アスタチン
Enigmatic astatine
アスタチン(At)は寿命が短いために研究が難しい元素だが、有用な標的放射線治療に利用するためには、その化学的性質の理解が不可欠だと、ワシントン大学のD. Scott Wilburが指摘する。

輝ける重い元素バリウム
Barium bright and heavy
魅惑的な輝きで魔女や錬金術師を魅了したバリウム(Ba)とその鉱石が、いかにして現代生活に欠かせないさまざまな化合物の構成要素となるに至ったのかを、フリブール大学のKatharina M. Frommが説明する。

アルミニウムの魅力
The allure of aluminium
13番元素アルミニウム(Al)は、汎用性が高く、安価で、広く普及している金属だが、ほんの150年前までは高価で珍しい金属とみなされていた。ノースカロライナ大学のDaniel Rabinovichが、Alの歴史や特性、利用について概説する。