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生物学的活性に基づくモデル化でSARS-CoV-2の抗ウイルス薬リード化合物を特定する

Nature Biotechnology 39, 6 doi: 10.1038/s41587-021-00839-1

定量的構造活性相関などの創薬のための計算手法は、小分子の構造類似性を用いて生物学的活性を推定するが、新規薬物候補の発見は既知のリガンドに近い化学空間に限定されることが多い。本論文では、複数のアッセイで確立された化合物活性プロファイルをシグネチャーとして用いて、別のアッセイでの化合物活性や新規標的に対する化合物活性を予測する、生物学的活性に基づくモデル化(BABM)法を紹介する。この方法は、ハイスループットのスクリーニングデータに基づいてジカウイルスとエボラウイルスの抗ウイルス薬候補を特定することによって有効性が確認された。次に我々は、BABMモデルを適用して、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対して活性を有する可能性がある311の化合物を予測した。予測された化合物のうち32%は培養細胞の生ウイルスアッセイで抗ウイルス活性を示し、最も強力な化合物は50%阻害濃度(IC50)がナノモルの範囲であった。確認された抗SARS-CoV-2化合物の大多数は、ウイルス侵入阻害物質やオートファジー調節物質であることが明らかになった。今回確認された化合物は、今後抗SARS-CoV-2治療薬としてさらに開発される可能性がある。

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