Analysis

ゲノム編集を行った無角雄ウシの仔6頭のゲノムおよび表現型解析

Nature Biotechnology 38, 2 doi: 10.1038/s41587-019-0266-0

ゲノム編集に続いて生殖クローニングを行うことにより、無角の乳用雄ウシが2頭誕生している。我々は、顕性のPC Celtic POLLED(無角)対立遺伝子がホモ接合となるようにゲノム編集を行った乳用雄ウシと有角の雌ウシ(pp)との交配を行い、ヘテロ接合(PCp)の無角の仔ウシを6頭得た。仔ウシは角がなく、健康で、表現型に目立つ点もなかった。イルミナ社のHiSeq4000を用いて行った全個体の全ゲノム塩基配列解読は、カバー率が約20倍であった。バイオインフォマティクス解析により、この雄ウシは複合ヘテロ接合体であって、自然に生じたPC Celtic POLLED対立遺伝子、およびPC Celtic POLLED対立遺伝子とともに相同組換え修復ドナープラスミドが追加的に遺伝子移入されている対立遺伝子を有することが明らかになった。この2つの対立遺伝子はその雄ウシの仔において分離し、いずれか一方の対立遺伝子が受け継がれて無角の仔ウシが生まれた。その他、ゲノムに想定外の変化は認められなかった。今回のデータを用いることにより、「意図的なゲノム改変」およびゲノム編集動物に関する今後の規制措置を巡る科学界内、対規制当局、対一般市民のやりとりに影響を与えることができる。

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