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ナノ流路を用いた光学的なゲノム地図作製法

Nature Biotechnology 30, 8 doi: 10.1038/nbt.2336-1

DNAのいわゆる「物理地図」の構築には、以前からゲノム中の反復配列の位置が用いられている。この地図は有益であるが、その作製には多大な労力とコストがかかる。Kwokらは、DNAの一分子を画像化し、標識配列モチーフ間の距離を測定することによって地図を作製する技術を紹介している。こうした「光学的地図作製」は過去にも例があるが、今回の方法では、DNA分子を引き伸ばしてナノスケールの流路内に閉じ込めるため、従来の方法と比較して強力かつ高速であり、蛍光標識された塩基配列部分の間隔が正確に測定される。この新しい方法の分解能は、現在のところ1.5 kbであるが、超分解能画像化技術を用いればさらに向上する余地がある。研究チームは、ヒト主要組織適合性遺伝子座の断片を含むBACクローン95個に由来する長さ20~220 kbのDNA分子の地図を作製した。この方法は、ゲノムの構造変化の検定やゲノムの新規組み立てに有用と考えられる。

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