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油料種子種トウゴマの概要ゲノム配列

Nature Biotechnology 28, 9 doi: 10.1038/nbt.1674

トウゴマ(Ricinus communis)は、キャッサバ(Manihot Esculenta)、ゴムノキ(Hevea brasiliensis)、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)など約6,300種が含まれるトウダイグサ科に属する油料種子作物である。主にヒマシ油の原料として経済的関心がもたれる作物で、リシノール酸という希少な脂肪酸の含有率が高いために高品質な潤滑油の生産に用いられる。しかし、トウゴマのゲノミクスはバイオセキュリティーにも関連している。それは、毒性が高いリボソーム不活性化タンパク質のリシンが高濃度で種子に含まれるためである。本論文では、トウダイグサ科の植物として初めてトウゴマの概要ゲノム配列(カバー率4.6倍)を示す。脂質合成および代謝回転に関与する主要な遺伝子の大半は単一コピーであるが、リシン遺伝子ファミリーの遺伝子の数は従来の想定を上回る。比較ゲノミクス解析から、双子葉類系統全体にわたって保存されている六倍体化が古代に生じたことが示唆される。

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