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認知機能を向上させるきわめて安全なホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)アロステリック調節物質の設計

Nature Biotechnology 28, 1 doi: 10.1038/nbt.1598

細胞内の主要なcAMP加水分解酵素であるホスホジエステラーゼ4(PDE4)は、さまざまな疾患の有望な薬剤標的である。今回我々は、活性部位が閉鎖された調節ドメインが認められるPDE4と結合型の阻害剤群との共結晶構造を7個明らかにし、PDE4調節の構造基盤を解明した。構造に関するこの洞察により、また裏づけとなる変異誘発研究および動力学的研究により、酵素活性を完全には阻害しない(Imax約80〜90%)PDE4Dの小分子アロステリック調節物質が設計された。今回のアロステリック調節物質は、細胞およびin vivoモデルで生物活性を維持しつつ、活性部位を標的とする既存のPDE4阻害剤の用量を制限する副作用である「嘔吐」を引き起こす危険性が低い。この結果は、アルツハイマー病、ハンチントン病、統合失調症、およびうつ病を治療するためにcAMPシグナル伝達を調節するCNS治療薬の設計を促進すると考えられる。こうした疾患では、治療効果を得るために脳内への薬物送達が望まれている。

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