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A型ボツリヌス神経毒素の2サブタイプに対する抗体交差反応性の分子進化

Nature Biotechnology 25, 1 doi: 10.1038/nbt1269

親和性を損なうことなく抗体の特異性を拡張することができれば、毒素およびウイルスサブタイプは検出および中和が容易になるはずである。本研究では、酵母ディスプレイ法および共選択戦略を用い、A型ボツリヌス神経毒素(BoNT/A)に対する単鎖(sc)Fv抗体の交差反応性を高めた。BoNT/A1サブタイプと強く(136 pM)結合しBoNT/A2サブタイプと弱く(109 nM)結合するscFvをもとに、BoNT/A1に対する高親和性結合(115 pM)を維持しながらBoNT/A2に対する親和性を1,250倍の87 pMに高めることができた。交差反応性の改善に関する分子基盤を明らかにするために、BoNT/A1と複合体を形成した野生型抗体および交差反応性抗体のX線共結晶構造を最大分解能2.6Åで明らかにし、BoNT/A1およびA2のアミノ酸が野生型抗体および交差反応性抗体との結合に及ぼす熱力学的寄与を評価した。得られた結果は、抗原抗体界面の構造の差に関係なく2種類の抗原と結合する抗体を作る方法を示しており、抗体の特異性および交差反応性を調整するための一般的方法が得られる可能性がある。

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