Nature

Cover Story: 「香気」なる女王:においの放出がハダカデバネズミの女王による繁殖の独占を助ける

Nature 656, 8127 (2026年8月13日)

ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber、表紙写真)は、アフリカの角地域に固有の齧歯類である。ハダカデバネズミは地下に大規模なコロニーを形成し、繁殖する女王は1個体しかいない。この女王が、社会性のアリやハチにより近い階級制の社会システムを支配している。しかし、この階級制がどのように維持されるのかは、長い間謎だった。今週号ではM KhallafとG Lewinたちが、何がハダカデバネズミの女王をその王座にとどめているのかを調べている。著者たちは、女王が産生し、コロニー内で繁殖における階級制を調節する化学シグナルを特定した。それは、化粧品に広く使われている成分であるミリスチン酸イソプロピルであり、女王はこの化合物を放出することで、他の雌の繁殖を抑制していた。重要なことに、繁殖女王を取り除いた後のコロニーへミリスチン酸イソプロピルを人為的に添加すると、上位の雌は平静を保ち、女王の座を巡って争わなくなり、結果として、コロニーは女王不在の状態が続くようになった。ところがミリスチン酸イソプロピルの添加をやめると、たちまち激しい競争を通じて新たな女王が出現した。研究チームは、単一のにおいを使って繁殖を抑制することは哺乳類では極めて異例であり、ハダカデバネズミの社会システムが社会性昆虫のものと関連すると指摘している。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

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著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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