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生命の起源:前生物的に妥当なRNA–ペプチドワールドのシナリオ

Nature 605, 7909 doi: 10.1038/s41586-022-04676-3

RNAワールドの概念は、生命の起源の理論を支える極めて重要な柱の1つである。この概念では、生命が、自己複製しながら次第に複雑化するRNA分子から進化したと推測されている。その後、タンパク質が生命の触媒となり、RNAは機能が縮小して主に情報の保存を担うようになったが、RNAワールドがどのようにしてこの段階に移行したかという疑問は、進化学において最も謎めいた、「鶏が先か卵が先か」的な難題の1つとなっている。今回我々は、現在の転移RNAおよびリボソームRNAに見られ、RNAワールドの名残と考えられている非カノニカルなRNA塩基が、RNA上で直接ペプチド合成を確立させる能力を持つことを示す。発見された化学反応では、ペプチドで修飾された複雑なRNAキメラ分子が生成する。これは、RNA–ペプチドワールドが初期に存在したこと、そしてそこからリボソームによるペプチド合成が出現した可能性を示唆している。痕跡的な非カノニカルヌクレオシドの助けを借りてRNA上でペプチドを伸長させる能力は、共有結合でつながったRNAとペプチドが初期に共進化した可能性を示しており、これがその後、さらに高度に複雑化して解離し、地球上の全生物の特徴となっている二元的な核酸–タンパク質ワールドを作り出した可能性がある。

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