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コロナウイルス:ピリミジン阻害剤はヌクレオシドアナログと相乗的に働いてSARS-CoV-2を抑制する

Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04482-x

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、過去1年半の間に2億6100万人以上に感染し、500万人以上の死者を出した(https://www.who.org/)。SARS-CoV-2感染者では、概して軽症から重症のインフルエンザ様の症状が見られる一方で、一部の感染者では重症から致死的な臨床転帰につながる。SARS-CoV-2に対抗するためにワクチンが迅速に開発されてきたが、抗ウイルス薬の開発は遅れている。ワクチンを回避する可能性のある変異株の脅威が出現したことで、抗ウイルス薬の喫緊の必要性がさらに高まり、抗ウイルス薬を見つけるための大規模な試みが進められている。今回我々は、ヒトの呼吸器系細胞での生ウイルス感染を用いて、抗ウイルス活性について約1万8000の薬剤をスクリーニングし、SARS-CoV-2に対して抗ウイルス活性と選択性を持つ122の薬剤で有効性を確認した。これらの候補のうち16はヌクレオシドアナログであり、臨床使用されている抗ウイルス薬の最大のカテゴリーである。このカテゴリーには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での使用が認可されているレムデシビルやモルヌピラビルといった抗ウイルス薬が含まれる。RNAウイルスは、宿主からのヌクレオシド三リン酸の大量供給に依存して効率的な複製を行っており、我々は、抗ウイルス薬として宿主のヌクレオシド生合成阻害剤の一群を特定した。さらに、ピリミジン生合成阻害剤とヌクレオシドアナログ抗ウイルス薬を組み合わせると、新たに出現したSARS-CoV-2株に対してin vitroとin vivoで相乗的にSARS-CoV-2感染を阻害することが明らかになり、これは治療戦略の前進と考えられる。

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