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コロナウイルス:オミクロン株はファイザー社BNT162b2による中和をかなり回避するが、完全にではない

Nature 602, 7898 doi: 10.1038/s41586-021-04387-1

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の懸念される変異株(VOC)であるオミクロン株(Pango系統B.1.1.529)は、ボツワナと南アフリカで最初に見つかり、この株の出現はワクチンの効果を損なわせ、再感染を引き起こす可能性がある。今回我々は、ファイザー社のBNT162b2ワクチンを接種した南アフリカの人々の抗体による中和からの、オミクロン株の回避について調べた。我々は、SARS-CoV-2感染歴のあるワクチン接種者、あるいは既感染の証拠がないワクチン接種者から、ワクチン接種直後に採取した血液検体を使用した。また、感染者から生きたオミクロン株ウイルスを分離して塩基配列を確認し、オミクロン株が細胞に感染するにはアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体が必要であることを観察した。オミクロン株に対する血漿中和活性をSARS-CoV-2従来株と比較したところ、従来株に対する中和活性は、ワクチン接種のみの人よりも、感染歴のあるワクチン接種者の方がかなり高いことが分かった。しかし、オミクロン変異株に対するワクチン誘導性の中和活性は、両グループで22分の1に低下していた。感染歴のあるワクチン接種者は、オミクロン株に対する中和活性が残っており、これはワクチン接種のみのグループで見られる従来株に対する中和活性と同等レベルだった。これらのデータは、ワクチン接種によってオミクロン株に対してある程度の防御が維持され得るという考えを支持している。

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