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材料科学:酸化物超格子の創発的界面振動構造

Nature 601, 7894 doi: 10.1038/s41586-021-04238-z

材料の長さスケールが短くなるにつれ、界面に関連する不均一性は周囲の材料と同じくらい重要になる。このことが、超格子における界面の創発的な電子特性や磁気特性の広範な研究につながった。しかし、熱伝導性などのフォノンが介在する特性に影響を及ぼす界面振動は、空間分解能が不十分な巨視的手法を用いて測定されている。固有フォノンが境界近傍で変化することは受け入れられているが、界面効果が材料に影響を及ぼす物理的機構と長さスケールは、まだよく分かっていない。今回我々は、高性能走査型透過電子顕微鏡撮像法と分光法、密度汎関数理論計算、超高速光学分光法を組み合わせることによって、チタン酸ストロンチウム–チタン酸カルシウム超格子における界面の局所振動応答を実証する。境界をなす材料同士を橋渡しする構造的に拡散した界面が観察され、これらの界面の間隔がフォノンの空間的広がりに近づくと、この局所的構造によって超格子の大域的応答を決めるフォノンモードが形成された。今回の結果によって、局所的な原子構造と界面振動が超格子全体の振動応答を決定するようになる際の、それらの進行の様子が直接可視化された。こうした局所的な原子現象や振動現象の直接観測結果は、巨視的挙動を理解するには空間的広がりを定量化する必要があることを実証している。界面を目的に合わせて調整し、その局所的振動応答を理解することによって、創発的な赤外応答や熱的応答を示すデザイナー固体を探す手段が得られる。

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