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材料科学:シリアルフェムト秒X線回折による化学結晶構造解析

Nature 601, 7893 doi: 10.1038/s41586-021-04218-3

無機–有機ハイブリッド材料は、合成ルートが単純で特性が目的に応じて調整可能なため、新たに報告された構造の多くを占めている。こうした材料の急増が特性評価のボトルネックにつながっており、多くのハイブリッド材料は、対称性が低くて強い放射線感受性を示す微結晶であることから、単結晶X線回折やマイクロ電子回折といった標準的手法の適用が阻まれている。今回我々は、微結晶から物質の結晶構造を決定する、小分子シリアルフェムト秒X線結晶構造解析(smSFX)を実証する。我々は、微結晶懸濁液にX線自由電子レーザーを照射し、数千の無秩序に配向した回折パターンを得た。そして、回折スポット探索結果を集めて高分解能粉末回折図を作製することによって、単位格子を決定した。グラフ理論の手法によって疎なシリアル回折パターンの指数付けを行った後、得られたデータセットは、単結晶回折データ用の標準的な解析ツールを用いて解き、精緻化することができる。我々は、ミトレン(mithrene;AgSePh)、チオレン(thiorene;AgSPh)、テトレン(tethrene;AgTePh)のab initio構造解について説明する。これらのうちチオレンとテトレンは、これまで知られていなかった構造であった。我々は、チオレンにおいて、さまざまなオプトエレクトロニクス特性と関連している銀–銀結合ネットワークの幾何学的変化を特定した。我々は、ビームに敏感な微結晶物質をほぼ常温常圧で構造決定する一般的手法として、smSFXを適用できることを実証する。

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