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分子生物学:HELQはRPAとRAD51によって調節される2つの機能を持つDSB修復酵素である

Nature 601, 7892 doi: 10.1038/s41586-021-04261-0

DNA二本鎖切断(DSB)は有害な損傷であり、その不正確な修復はがんの発生を駆動することがある。HELQは、スーパーファミリー2のヘリカーゼで、3′→5′の方向性を持ち、マウスで欠損させた場合には、生殖細胞の喪失や不妊が引き起こされて、卵巣腫瘍や下垂体腫瘍を発症しやすくなる。細胞レベルでは、HELQの異常により、シスプラチンやマイトマイシンCへの過感受性、およびDNA損傷後のRAD51フォーカスの持続が引き起こされる。特に、HELQはRPAおよびRAD51パラログであるBCDX2複合体に結合するが、これらの相互作用の意義や、DSB修復においてHELQが機能する仕組みは分かっていない。今回我々は、HELQのヘリカーゼ活性と、これまで正しく評価されていなかったDNA鎖のアニーリング機能が、RPAとRAD51によって異なる調節を受けることを示す。我々は、生化学的解析と単一分子画像化法を用いて、HELQがDNA巻き戻し過程で移動する際に、RAD51がHELQと複合体を形成して、HELQの活性を強力に高めることを明らかにした。対照的に、RPAはHELQによるDNA巻き戻しを抑制するが、DNA鎖のアニーリングを強力に促進した。機構的には、HELQには固有の能力があり、RPAが結合したDNA鎖を捕捉した後に、RPAを取り除いて相補的塩基配列のアニーリングを促進することが分かった。さらに、細胞でのHELQ欠損によって、一本鎖アニーリング経路やマイクロホモロジー媒介末端結合経路が障害され、相同組換え過程でLTGC(long-tract gene conversion)型トラクトへの偏りが引き起こされることが分かった。従って我々の結果は、HELQがコファクター依存的に内因性トランスロカーゼ活性やDNA鎖のアニーリング活性の調節を受けることで、DSB修復の複数の経路に関与していることを示している。

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