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遺伝学:細胞タイプの特化は特異的なクロマチントポロジーによってコードされる

Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04081-2

クロマチンの三次元(3D)構造は、遺伝子の調節と細胞の機能と本質的に関連している。3C(chromatin conformation capture)法に基づく手法によって、in vitroで分化させたニューロン、さまざまな動物から集めた皮質組織や分離した全海馬から蛍光励起セルソーターにかけて単離したニューロンなどの複数のニューロン系で、クロマチン構造がマッピングされている。しかし、こういった手法では、画像化法で捉えられたクロマチン構成の変化(例えば、Bdnfが活性化後に核周縁部から離れた位置に移動するなど)は見ることができない。今回我々は、GAM(genome architecture mapping)を拡張して、単一の動物で組織を破壊することなく、脳の特定の細胞タイプでのゲノム全域の3Dクロマチントポロジーをマッピングする方法である免疫GAM(immunoGAM)を開発した。GAMはライゲーションの要らない技術で、核の薄い凍結切片(約220 nm)に含まれるDNAの塩基配列解読を行うことによって、ゲノムのトポロジーをマッピングする。クロマチンの相互作用は、接触している座位は核切片集合全体を通して同一挙動をとる確率が高くなることによって見つけ出す。免疫GAMは、GAMの扱える範囲を拡大し、複雑な組織中の少数の細胞(約1000個)を使うことで特定の細胞タイプの選択を可能にするため、組織の解離が避けられる。我々は、複数のゲノムスケールで、遺伝子発現パターンと関連付けて細胞タイプ特異的3Dクロマチン構造を明らかにした。長い遺伝子では、高度に発現されている場合や、非常に接近しやすいクロマチン構造を持つ場合には広い範囲が「融解している」ことが分かった。ニューロンサブタイプの特異性が最も高い接触には、特化した過程(例えば、嗜癖やシナプス可塑性など)に関わる遺伝子が含まれており、そこには接近可能なクロマチン領域内にニューロン転写因子の結合部位と推定されるものが含まれていた。さらに、感覚受容器遺伝子は脳細胞のヘテロクロマチン区画に選択的に見つかり、数十メガ塩基にわたって強い接触が確立されていた。これらの結果から、脳細胞の高度に特異的なクロマチンコンホメーションは、遺伝子調節機構や特異的な機能に密接に関連していることが実証された。

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