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航空宇宙工学:ヨウ素電気推進システムの軌道上での実証

Nature 599, 7885 doi: 10.1038/s41586-021-04015-y

推進装置は、多くの宇宙船の重要なサブシステムである。推進剤を効率よく使用するには、気体の電子衝撃イオン化時に形成されるイオンを静電加速する電気推進システムが、特に魅力的である。現在、宇宙推進向けにイオン化可能な推進剤として使われているのは、ほぼキセノンのみである。しかし、キセノンは希少であり、高圧下で貯蔵しなければならず、商業生産にはコストがかかる。今回我々は、ヨウ素推進剤を用いる推進システムを実証し、この新技術の軌道上での試験結果を提示する。このシステムでは、二原子ヨウ素が固体として貯蔵され、低温で昇華する。次に、高周波誘導アンテナでプラズマが生成され、我々は、ヨウ素のイオン化効率がキセノンのものと比較して高いことを示す。原子状ヨウ素イオンと分子状ヨウ素イオンの両方が高電圧グリッドによって加速されて推力を生み出し、高度に集束されたビームが、ヨウ素の十分な解離を伴って生成する。この推進システムは、小型人工衛星に搭載されて宇宙空間での動作に成功しており、操作の様子は衛星追跡データを用いて確認された。我々は、今回の結果によって、宇宙産業における代替推進剤の採用が加速され、さまざまな宇宙ミッション向けのヨウ素の可能性が実証されると予測する。例えば、ヨウ素によって、システムの大幅な小型化と単純化が可能になり、小型衛星や衛星コンステレーションに、配置、衝突回避、使用後廃棄、宇宙探査といった新たな能力が与えられる。

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