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進化学:家畜ウマは西ユーラシアのステップで生じ、そこから広がった

Nature 598, 7882 doi: 10.1038/s41586-021-04018-9

ウマの家畜化は、長距離移動と戦争を根本的に変容させた。しかし、現代の家畜品種は、紀元前3500年頃の中央アジア・ボタイにおける頭絡使用、搾乳、囲い飼育の考古学的証拠と関連付けられている最初期の家畜ウマ系統の子孫ではない。イベリア半島やアナトリアなど、かねてウマの家畜化の候補地とされてきた別の地域に関しても、近年は異議が唱えられている。そのため、現代の家畜ウマの遺伝的、地理的、時間的な起源は今なお不明である。今回我々は、西ユーラシアのステップ、特にヴォルガ川とドン川の下流域が現代の家畜ウマの誕生の地であることを突き止めた。さらに我々は、古代ウマゲノム273例に基づいて、家畜化に伴う個体群変化をマッピングした。その結果、現代の家畜ウマは、シンタシュタ文化のスポーク型車輪付き二輪馬車などの騎馬物質文化と同時期の、紀元前2000年頃からユーラシア全域に急速に広がり、最終的に他のほぼ全ての地域個体群と入れ替わったことが明らかになった。また、騎馬が、GSDMCおよびZFPM1遺伝子における運動や行動の重要な適応に強力な選択をもたらしたことが見いだされた。我々の研究結果は、インド・ヨーロッパ語族の拡大を駆動したのが、乗馬と、ヤームナヤのステップ牧畜民の紀元前3000年頃のヨーロッパへの大規模拡大の間の関連であったとする一般的な考えを否定している。これは、アジアにおいて、紀元前2000年紀初期のシンタシュタ文化に続いてインド・イラン語族、二輪馬車、ウマが同時に広がったという筋書きとは対照的である。

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