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構造生物学:ヒトの転写とDNA修復の共役の構造基盤

Nature 598, 7880 doi: 10.1038/s41586-021-03906-4

転写と共役したDNA修復(TCR)では、ゲノムから大きなDNA損傷が除去され、細胞を紫外線(UV)照射から保護する。TCRは、RNAポリメラーゼII(Pol II)がDNA損傷部位で停止し、コケイン症候群タンパク質CSB、E3ユビキチンリガーゼCRL4CSA、UVSSA(UV-stimulated scaffold protein A)を引き寄せると開始される。今回我々は、ヒト転写共役DNA修復因子と伸長因子PAF1複合体(PAF)およびSPT6を含んだPol II転写複合体の、5つの高分解能構造を明らかにした。生化学データやすでに発表されているデータと相まって、これらの構造から転写–修復の共役についてのモデルが考えられる。DNA損傷部位でPol IIが停止すると、それがきっかけとなってCSBが伸長因子DSIFと入れ替わり、これがPAFに結合して損傷上流のDNAをSPT6の方へ動かす。その結果生じた伸長複合体ECTCRは、CSAによって刺激されたCSBのトランスロカーゼ活性を使って上流DNAを引き寄せ、Pol IIを前進させる。損傷部位を回避できない場合は、CRL4CSAがPol IIクランプの上にまたがって、Pol IIのサブユニットRPB1の残基K1268をユビキチン化し、TFIIHのUVSSAへの誘引とDNA修復を可能にする。CRL4CSAで起こったコンホメーション変化が、CSBのユビキチン化につながり、転写共役DNA修復因子が遊離してから、修復されたDNAを乗り越えて転写が継続するのだろう。

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