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特集:BICCN:哺乳類の一次運動皮質の多モード細胞センサス・アトラス

Nature 598, 7879 doi: 10.1038/s41586-021-03950-0

本論文で我々は、BRAINイニシアチブ細胞センサスネットワーク(BRAIN Initiative Cell Census Network;BICCN)の初期結果として、哺乳類の一次運動皮質の多モード細胞センサス・アトラスを報告する。これは、単一細胞トランスクリプトーム、クロマチン接近可能性、DNAメチローム、空間分解単一細胞トランスクリプトーム、形態学的・電気生理学的な特性、細胞分解能の入出力マッピングの協調的な大規模解析と、それらのモード横断的計算解析による統合によって達成された。今回の結果は、脳の細胞タイプ構成の総合的な知識と理解を増進するものである。第一に、我々の研究によって、皮質の細胞タイプに関するトランスクリプトーム、オープンクロマチン、DNAメチル化の各地図を統合した、分子遺伝学的な全体像が明らかになった。第二に、種間比較解析から、マウスとマーモセットとヒトの間で保存されているトランスクリプトームのタイプとそれらの階層的構成についての合意分類法が得られた。第三に、in situでの単一細胞トランスクリプトミクスによって、運動皮質の空間的に分解された細胞タイプのアトラスが得られた。第四に、モード横断的な解析から、生理学的および解剖学的な性質など、ニューロン表現型のトランスクリプトーム、エピゲノム、遺伝子調節的な基盤について確たる証拠が得られ、これによって各ニューロンタイプの生物学的な妥当性とゲノム基盤が明らかになった。我々はさらに、グルタミン酸作動性ニューロンタイプを標的にして、それらの分子的・発生的アイデンティティーを回路機能に結び付けるための、広範な遺伝学的ツールセットを提示する。まとめると今回の結果は、多層的な分子遺伝学と空間的情報を多面的な表現型特性と統合する、ニューロンの細胞タイプ構成の統一的な機構の枠組みを確立するものである。

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