Article
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンによるCD8+ T細胞の迅速かつ安定した動員
Nature 597, 7875 doi: 10.1038/s41586-021-03841-4
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクmRNAワクチンは、まだ中和抗体がほとんど検出されない初回接種後10日という早期から、重症疾患に対する防御を担う。従って、ワクチンによって誘導されたCD8+ T細胞が、この早期段階における防御の主要なメディエーターと考えられる。しかし、こうした誘導の詳細や自然感染との比較、ワクチンによって誘導される他の部類の免疫との関連性については、まだ完全には理解されていない。今回我々は、bnt162b2の初回接種後1週間の、循環血中CD4+ T細胞や中和抗体がまだほとんど検出されない時期に、安定かつ十分機能するCD8+ T細胞応答が強力に動員されることを、単一エピトープレベルで示す。追加免疫接種はロバストな細胞増殖を引き起こし、高度に分化したエフェクターCD8+ T細胞を生じるが、その機能的能力や記憶T細胞前駆細胞プールは影響を受けなかった。自然感染と比較すると、ワクチンによって誘導される早期の記憶T細胞は、同様の機能的能力を持つが、異なるサブセット分布を示した。我々の結果によって、CD8+ T細胞は重要なエフェクター細胞であり、初回ワクチン接種後早期の防御の段階で増殖し、ワクチンによって誘導される免疫の他のエフェクター部類の成熟に先行して、追加免疫接種以降、安定して維持されることが示された。