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コロナウイルス:交差性と抗体回避への抵抗性を最大化したSARS-CoV-2 RBD抗体

Nature 597, 7874 doi: 10.1038/s41586-021-03807-6

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する理想的な治療抗体とは、ウイルスの抗体回避に対して抵抗性があり、多様なサルベコウイルスに対する活性を有し、ウイルスへの中和機能やエフェクター機能を介して高い防御力を持つ抗体だろう。これらの特性がどのように相互に関連し、エピトープ間で違いがあるのかを理解することは、治療抗体の開発に役立ち、ワクチン設計の指針となる。今回我々は、受容体結合ドメイン(RBD)を標的とするSARS-CoV-2抗体のパネルに対して、抗体回避や交差性、有効性を包括的に調べた。その結果、in vitroでの中和力とサルベコウイルス結合の交差性にはトレードオフがあるものの、サルベコウイルスに対して非常に優れた交差性を示しつつ、SARS-CoV-2による抗体回避に対する抵抗性も併せ持つ中和抗体が複数特定された。これらの抗体の1つであるS2H97は、サルベコウイルス亜属の全クレードのウイルスに対して高い親和性を持って潜在性エピトープと結合し、ウイルスチャレンジからハムスターを予防的に防御した。アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)の受容体結合モチーフ(RBM)を標的とする抗体は、高い中和力を有するが、一般的に交差性が低く、変異によって容易に回避される。しかし我々は、SARS-CoV-2に近縁なサルベコウイルス全般に交差性を持ち、ウイルスの抗体回避を防ぐ高い障壁となる強力なRBM抗体(S2E12)の特性も明らかにした。これらのデータによって、RBDを標的とする抗体間での回避、交差性、有効性の多様性の根底にある原理が明らかになり、現在および将来起こる可能性のあるパンデミック(世界的大流行)に対する治療法開発のために優先すべきエピトープや特徴が特定された。

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