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コロナウイルス:SARS-CoV-2変異株に対するモノクローナル抗体のin vivoでの有効性

Nature 596, 7870 doi: 10.1038/s41586-021-03720-y

急速に出現する新たな重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)変異株は、抗体を用いた対策を脅かしている。細胞培養実験では、いくつかの抗スパイク中和抗体が、SARS-CoV-2変異株に対する有効性を失っていることが示されているが、これらの結果のin vivoでの重要性については明らかになっていない。今回我々は、ウィル・バイオテクノロジー社、アッヴィ社、アストラゼネカ社、リジェネロンおよびリリー社による最新の臨床開発が進んでいる多数のモノクローナル抗体(mAb)からなるパネルの、in vitroとin vivoでのSARS-CoV-2変異株に対する活性について報告する。細胞培養において、個々のmAbの中にはスパイクタンパク質のE484残基に変異のあるB.1.351、B.1.1.28、B.1.617.1、B.1.526ウイルスに対して中和活性が低下あるいは喪失したものもあったが、K18-hACE2トランスジェニックマウス、正常な免疫能を持つ129S2マウス、ハムスターにおいてmAbを低用量で予防的に併用すると、多くの変異株による感染が防がれ、抵抗性も生じなかった。例外として、LY-CoV555の単剤療法やLY-CoV555とLY-CoV016の併用療法では、どちらも防御活性が完全に失われており、またアッヴィ社の2B04と47D11の併用では、活性が部分的に失われていた。感染後に投与した場合には、いくつかのmAbカクテルは、より高用量でB.1.351スパイク遺伝子を有するウイルスをin vivoで防御した。従って、緊急使用許可された抗体製剤は、全てではないがその多くが、流行中のSARS-CoV-2変異株に対して十分な有効性を保持していると考えられる。

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