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コロナウイルス:BNT162b2ワクチンはヒトにおいて中和抗体と多重特異性T細胞を誘導する

Nature 595, 7868 doi: 10.1038/s41586-021-03653-6

BNT162b2はヌクレオシド修飾mRNAを脂質ナノ粒子により製剤化したもので、融合前のコンホメーションで安定化された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク糖タンパク質(S)をコードしており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に95%の有効性があることが実証されている。今回我々は、健康な成人(18〜55歳)を対象とした追加の第I/II相臨床試験から、BNT162b2のプライムブースト法でのワクチン接種によって誘導される免疫応答についてのデータを示すことで、以前の第I/II相臨床試験の報告を拡大する。BNT162b2は強力な抗体応答を誘導し、ブースト後1週間の時点で、血清のSARS-CoV-2に対する50%中和幾何平均力価は、COVID-19からの回復者の試料で観察されたものより最大3.3倍高かった。BNT162b2により誘導された血清は、異なるSARS-CoV-2変異株のSを持つ22のシュードウイルスを中和した。ほとんどの参加者は、IFNγ+あるいはIL-2+のCD8+ T細胞およびCD4+ 1型ヘルパーT細胞の強力な応答を示した。これは、ブースト後9週間の全観察期間を通して検出可能であった。我々は、ペプチド–MHC多量体技術を用いて、高頻度のMHC対立遺伝子によって提示され変異株で保存されているBNT162b2誘導性エピトープを複数特定した。ブーストの1週間後には、初期分化状態のエフェクター記憶表現型のエピトープ特異的CD8+ T細胞が、循環している全CD8+ T細胞の0.02〜2.92%を占めており、8週間後も検出可能(0.01〜0.28%)であった。まとめると、BNT162b2は、良好な忍容性を示す用量で、広範な変異株で保存されているエピトープに対し、適応的な体液性免疫応答と多重特異性の細胞性免疫応答を誘導する。

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