Article

コロナウイルス:SARS-CoV-2感染はヒトにおいて長期生存骨髄形質細胞を誘導する

Nature 595, 7867 doi: 10.1038/s41586-021-03647-4

長期生存する骨髄形質細胞(BMPC)は、防御性抗体の持続的かつ必須の供給源である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した人は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に再感染するリスクが著しく低下している。とはいえ、抗SARS-CoV-2の血清抗体のレベルは、感染後の最初の数か月で急速に減少することが報告されている。そのため、長期生存BMPCが作られず、SARS-CoV-2に対する体液性免疫は長期間持続しないかもしれないという懸念が生じている。今回我々は、軽症のSARS-CoV-2感染を経験した回復期患者(n = 77)において、血清の抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質(S)抗体のレベルが感染後の最初の4か月で急速に減少し、その後7か月の間によりゆるやかに減少するが、感染後少なくとも11か月たっても検出可能であったことを示す。抗S抗体価は、感染後7〜8か月目のCOVID-19回復者18人からの骨髄穿刺液におけるS特異的な形質細胞の割合と相関していた。S特異的なBMPCは、SARS-CoV-2感染歴のない11人の健常者由来の骨髄穿刺液では検出されなかった。我々は、Sに結合性のあるBMPCが静止期にあることを示し、この結果はこれらの細胞が安定な区画の一部であることを示唆している。これと一致して、回復期患者では循環血中にSARS-CoV-2のSに対する静止状態の記憶B細胞が検出された。まとめると我々の結果は、SARS-CoV-2の軽症の感染が、ヒトにおいて、抗原特異的で長期間持続する体液性免疫のロバストな記憶を誘導することを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度