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コロナウイルス:二重特異性IgGはSARS-CoV-2変異株を中和し、マウスにおいてエスケープを防ぐ

Nature 593, 7859 doi: 10.1038/s41586-021-03461-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を標的とする中和抗体は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する最も有望な手法の1つである。二重特異性IgG1様分子(CoV-X2)は、COVID-19から回復したドナーに由来する2つの抗体であるC121とC135に基づいて開発された。今回我々は、CoV-X2がRBDの2つの独立した部位に同時に結合し、その親抗体とは異なり、このウイルスの細胞受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)への検出可能なスパイク結合を防ぐことを示す。さらにCoV-X2は、野生型SARS-CoV-2とその懸念される変異株に加え、親モノクローナル抗体によって生じたエスケープ変異株も中和する。また、肺の炎症を伴うSARS-CoV-2感染マウスモデルでは、CoV-X2がマウスの疾患を防ぎ、ウイルスのエスケープを抑制することも分かった。従って、IgG様の二重特異性抗体による重複しないRBDエピトープの同時標的化は実現可能かつ効果的であり、抗体カクテルの利点と単一分子手法の利点を兼ね備えている。

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