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大気化学:大気中の至る所で生じている雲粒を介した有機酸の生成

Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03462-x

大気の酸性度は、二酸化炭素と有機酸によって決まるようになってきている。有機酸の中でもギ酸は、雲粒の核生成を促進し、雲や雨水の酸性度に寄与している。現在、ギ酸の供給源とシンクに関連する重要な過程が十分に解明されていないため、化学–気候モデルでは、ギ酸の大気負荷が大きく過小評価されている。今回我々は、ホルムアルデヒドが、その水和物であるメタンジオールが関与する多相経路を通して、ガス状のギ酸に効率よく変換されることを示す、大気チャンバー実験について報告する。暖かい雲粒では、メタンジオールは高速で脱ガスするが、脱水は遅い。我々は、化学–気候モデルを用いて、メタンジオールの気相酸化によって生成されるギ酸は、既知の他の化学的供給源を合わせたものより最大で4倍多いと推定する。今回の知見によって、ギ酸の存在量に関するモデル予測と測定結果が一致した。このギ酸負荷の増大によって雲や雨水のpHは最大0.3下がることで、大気の酸性度が高まる。今回報告したジオール機構は、おそらく他のアルデヒドにも当てはまり、エアロゾルの成長や雲の発達に影響を及ぼす他の有機酸の大気中濃度が高いことの説明に役立つ可能性がある。

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