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発生生物学:ショウジョウバエ初期胚ではHP1がde novo 3Dゲノム再構築を駆動する

Nature 593, 7858 doi: 10.1038/s41586-021-03460-z

ゲノムの3D構造の基本的特徴、例えばセントロメア周辺領域のクラスター形成、染色体腕の折りたたみ、活性な(A)区画と不活性な(B)区画への染色体の分離などは、初期胚の段階でde novoに確立される。しかし、de novo構築を駆動する分子機構はまだ解明されていない。今回我々は、Hi-C法(high-throughput chromosome conformation capture)、ChiP-seq法(chromatin immunoprecipitation with high-throughput sequencing)、3D DNA FISH法(3D DNA fluorescence insitu hybridization)、ポリマーシミュレーション法を組み合わせて、ショウジョウバエ(Drosophila)の初期発生の際に起こる3Dゲノムのde novo構築には、ヘテロクロマチンタンパク質1a(HP1a)が不可欠であることを明らかにする。セントロメア周辺領域のクラスター形成には、HP1aのセントロメア周辺領域への結合が必要である。さらに、染色体腕へのHP1aの結合は、染色体全体の折りたたみを引き起こすとともに、B区画の形成にも重要な役割を果たしている。しかし、HP1aの欠乏はA区画には影響せず、これは、染色体の活性な領域の分離には別の分子機構が働いていることを示唆している。これらの知見から、HP1aが初期胚におけるゲノムの全体構造の確立に関わるエピジェネティックな調節因子であることが明らかになった。

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