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ゲノミクス:完全なヒト第8染色体の構造、機能および進化

Nature 593, 7857 doi: 10.1038/s41586-021-03420-7

ヒトの各染色体の完全なアセンブリは、ヒトの生物学的性質や進化を理解するために不可欠である。今回我々は、補完的なロングリード塩基配列解読技術を用いて、ヒト第8染色体の線状アセンブリを完成させた。我々のアセンブリによって、セントロメアの2.08 Mbのαサテライトアレイ、疾患リスクに重要なβデフェンシン遺伝子クラスターの644 kbのコピー数多型、ネオセントロメアとして機能できる染色体8q21.2の863 kbの縦列反復配列多型(VNTR)など、これまで長い間解読されていなかった5つのギャップの塩基配列が解明された。セントロメアのαサテライトアレイは通常メチル化されているが、例外はCENP-Aヌクレオソームが豊富なさまざまな高次構造αサテライトの73 kbの低メチル化領域で、その位置は動原体と一致することが分かった。さらに、ヒト二倍体ゲノムにおけるセントロメアの全体的な構成とメチル化パターンが確認された。我々は、デュアルロングリード塩基配列解読手法を用いて、チンパンジー、オランウータン、アカゲザルの第8染色体のオルソロガスなセントロメアの高品質概要アセンブリを完成させ、セントロメアの進化史を再構築した。比較解析および系統発生学的解析から、αサテライトの高次構造が、階層的な対称性を持つ類人猿の祖先で進化し、そうした祖先ではより古い高次反復配列がαサテライトモノマー周辺に位置していたことが分かった。セントロメアのサテライトDNAの変異率は、ゲノムの固有の部分と比較して2.2倍以上加速しており、この加速は隣接する塩基配列にも及んでいると推測される。

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