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コロナウイルス:BNT162bワクチンはアカゲザルをSARS-CoV-2から守る

Nature 592, 7853 doi: 10.1038/s41586-021-03275-y

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、大規模集団の接種に十分な量の安全で有効なワクチンが喫緊に必要とされている。今回我々は、2種類のワクチン候補(BNT162b1とBNT162b2)の前臨床開発について報告する。これらは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイク糖タンパク質(S)由来の免疫原をコードするヌクレオシド修飾メッセンジャーRNAを含み、脂質ナノ粒子に製剤化されたものである。BNT162b1は、可溶性分泌型受容体結合ドメイン三量体(別名RBDフォルドン)をコードしている。BNT162b2は、2つの残基をプロリンで置換することによって融合前のコンホメーションに固定した、完全長の膜貫通型S糖タンパク質[S(K986P/V987P);以降S(P2)と略す(別名P2 S)]をコードしている。RBDフォルドンに可動性を保って連結させたRBDは、ヒトACE2に対し高いアビディティーで結合する。S(P2)三量体の約20%は、2個のRBDが「ダウン」型、1個のRBDが「アップ」型の状態になっている。マウスでは、どちらのワクチン候補も1回の筋肉内投与で、高いウイルス侵入阻害活性を示す投与量依存的な抗体応答と、強力なCD4+ 1型ヘルパーT細胞応答およびIFNγ+ CD8+ T細胞応答を引き起こした。BNT162b2ワクチン候補をアカゲザル(Macaca mulatta)にプライムブースト法で接種すると、SARS-CoV-2感染患者の回復期血清パネルに比べて、SARS-CoV-2の幾何平均中和力価が8.2~18.2倍になった。これらのワクチン候補は、SARS-CoV-2チャレンジからアカゲザルを保護し、特にBNT162b2は、ウイルスRNAの存在下で下気道を守り、疾患の増強を示す兆候は全く見られなかった。両ワクチン候補は、ドイツと米国で第I相試験が進行中であり、BNT162b2については、現在進行中の第II/III相国際共同試験で評価が行われている(NCT04380701、NCT04368728)。

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